テッラ・デラ・ルナが位置するリグーリア州東端のColli di Luniには1800年代からブドウが植えられており、所有していた商人ファブリコッティ家(カッラーラの採石場を所有)のプライベートワインを造っていた。テッラ・デラ・ルナの当主、アレッサンドロ・ヴィニャーリの祖父ジュゼッペは地元マリネッラ・ディ・サルザーナに生まれ育ち、このファブリコッティ家が銀行に売却したドメーヌ管理を手伝う事となる。そして1930年代に高品質なワインを造るためブドウの木を根こそぎ取り除いた。
祖父同様、この農園からほど近いマリネッラ農園の農家で生まれ育ったアレッサンドロは、全く異なる仕事に就いていたが、自然と触れ合う中で子供たちの幼少期を過ごさせてあげたい、とこの地に戻り、2006年にテッラ・デラ・ルナを創設。
彼は自身が造るワインを“vino del contadino”(農民の酒)と呼ぶ。自然なワインとは季節・気候を尊重したものであり、カンティーナでは化学的なものは厳禁だと考え、気候などにおいて、不運に見舞われた条件を最大限に利用する事を好んでいる。
畑はリグーリアのMontebello、トスカーナのNicola村それぞれの丘の谷間となる盆地に位置しており、雨に流された灰色の粘土が堆積した土壌を持つ。表面の赤粘土の下に深さ1メートル程の灰色の粘土があるため、雨が暫く降らなくても地中の水分が守られ、温度差の激しい微気候と相まって、個性あるワインの生産を可能にしている。畑の面積は2ha。標高の高い位置にグルナッシュ、シラー、低い位置にヴェルメンティーノを植えている。化学的なものは一切使わず、SO2無添加、フィルター不使用。ブドウ樹はいずれも2006年に植樹。
ヴェルメンティーノからは3種のワインを醸造しており、畑の標高がより低い位置から収穫を始める。最初に収穫するブドウからは「Vinacciolo di Luna」(微発泡)、二番目に「PLINIO」、最後に収穫する 遅摘みブドウで「Lun’Antica」を造っている。白ワインはステンレスタンクのみを使用し、収穫後1~2年でリリース。赤ワインは概ね300~500リットルのフレンチオーク大樽で15~24ヶ月熟成する。年間総生産量は1万本程度。
カリグレ(Caligré)
- 産地
- イタリア リグーリア
- 種類
- 赤
- 品質分類・原産地呼称
- IGT Liguria di Levante
- コメント
- ◆グルナッシュ100%
南南東向きの灰色粘土質土壌の畑。10月上旬に手摘みで収穫。
ステンレスタンクで15日間マセラシオン。清澄・ろ過無し。
熟成はフレンチオークの500l大樽で24ヶ月間。さらに瓶熟成6か月経過後にリリースする。この年は乾燥がちで雨が少なかったが、灰色粘土のおかげで地中の水分が保たれブドウの樹の根は健全だった。
酸味が生き生きとした味わいを維持している。余韻が長くエレガント。
ウサギやハト、鴨などの肉料理と相性が良い。