中国の高級食材でもある金針菜は、見た目は野菜ですが、実なのか種なのか分かりにくいと思います。本萱草(ホンカンゾウ)という花のつぼみである金針菜は、中国では普段の料理にちょっと加えるだけで体調不良を改善してくれる漢方食材として人気があります。 一説には偉人のマハトマ・ガンジーも好んで食べていたそうです。つぼみのなかにはたくさんのたんぱく質、ビタミン、鉄分など多くのミネラルが含まれており女性におすすめの食材です。
金針菜は本萱草(ホンカンゾウ)というユリ科ワスレグサ属に属する植物の花の蕾です。本萱草(ホンカンゾウ)は中国南部が原産で、心配事をすべて忘れてしまうほど美しい花を咲かすことから、別名「忘憂草(ボウユウソウ)」とも呼ばれています。蕾の薬効に憂鬱なことを忘れさせてくれる作用があることで忘憂草と呼ばれているという説もあります。本萱草の蕾である金針菜は生ものを摘んで加熱するか、乾燥したものをもどして料理して食べます。中国では体の不調を改善する薬効のある食材として、昔からよく食べられている食材です。普通のスーパーではなかなか手に入りづらい食材ですが、普段の料理にちょっと加えるだけで、体の不調な症状を改善したり整えてくれる漢方食材として注目されている食材です。漢方薬のように苦味はなく、味に癖のない使いやすい食材で色々な料理に使えます。
金針菜の旬の時期
金針菜は6~10月に旬の時期を迎えます。この時期に摘まれる蕾は緑色の硬い蕾が収穫されます。花が開く前のものは黄色い蕾をしています。ちなみに黄色い蕾のものは「黄金金針菜」と呼ばれます。摘まれた金針菜の蕾の中にはたくさんの花粉がつまっており、そしてその花粉の中にたくさんの栄養成分がバランスよく含まれています。
金針菜はほんのり甘い味
生のものを加熱調理した金針菜も乾燥の金針菜も、料理したその味は、クセのない味でほんのり甘みを感じます。少しヌルっとしたヌメリがありますが、食感はシャキシャキした歯ごたえがあり、この食感も金針菜の魅力の一つです。
金針菜の効能
中国の伝統医学である中医学では、食材を体に取り入れることで現れる症状によって食材を温、熱、涼、寒の4つの性質(四気)に分類する理念があります。そして個々の食材は酸味、甘味、苦味、辛味、鹹味(かんみ・しょっぱさ)という5つの味(五味)に分類され、それぞれの味が、体の中の脈となる部分を通って不調を訴える臓器に作用する、これを中医学では帰経と呼んでいます。中医学で漢方食材だと捉われている金針菜は、その理念に基づくと四気の中では涼性、五味の中で甘味を示す食材とされています。
中医学から見た金針菜の効能
四気の中で涼性に分類される金針菜は身体を冷やす作用、そして鎮静作用や消炎作用があります。体内にこもった熱を冷ます作用があるので、夏バテにも効果的な食材です。鎮静作用があることで気の高ぶりを静める、精神の緊張をほぐす、憂鬱な気分を解消する、イライラする気分が治まるなど精神の安定が得られ、不眠の解消にも効果的です。五味の中で甘味に分類される金針菜は食欲増進や解毒作用があります。甘味は腎臓に帰経し、腎臓の働きを促進する作用があるので体内の水分の流れと代謝を良くし、泌尿器の機能を整えむくみなどが解消されるほか、ホルモンの働きを促進する作用から、産後の母乳分泌不全の改善などにも効果があります。甘味はストレスなどで弱った肝の働き助けてくれる効果があり消化を助けストレスを軽減する効果があります。 血液の流れをよくする作用から新陳代謝のアップにつながり、動悸や息切れに役立つほか、補血作用があることでは貧血の防止や造血作用に効果があります。
金針菜の栄養成分から見た効能
金針菜の栄養成分の分析からは、タンパク質、鉄やカルシウムなどの豊富なミネラル類、ビタミンA、B、C、カロテンなどのビタミン類、そしてアミノ酸の一種であるアスパラギン酸などの栄養分がバランスよく含まれていることが報告されています。ミネラルの中でも特に鉄分はほうれん草の20倍もの量を含んでいることから、貧血やかすみ目に効果があると言われています。カルシウムは骨や歯を強くするだけではなく、精神を安定がはかれ、神経衰弱や不眠などの症状回復に効果が期待されています。アミノ酸の一種類のアスパラギン酸は美容効果や疲労回復に効果があると言われます。このように金針菜は含有される栄養成分から見てもたくさんの効果に期待されている食材です。
日本で販売されている金針菜のほとんどは乾燥したものです。蕾をそのまま乾燥させたオレンジ色のものと、蕾を蒸してから乾燥させた茶褐色のタイプがあり、どちらも使うときは水またはぬるま湯に浸けてもどして使います。
オレンジ色のものは30分くらい、茶褐色のものはもどすのに2時間くらいかかります。どちらのタイプももどした水や湯の中には栄養分が溶け出ていますので、もどした水や湯は捨てずに活用しましょう。
軸の部分が少し硬いですが、食べてもさしつかいありません。気になるのなら、指でちぎって取り除いてください。もどした金針菜は炒め物、サラダの具、煮物、天ぷらなどのほかに、もどし汁と一緒に味噌汁、スープ、薬膳鍋などの料理に使います。
乾燥した金針菜は保存がきくので便利
日本で販売されている金針菜は、ほとんどが乾燥した状態で販売されているので、長期保存が可能です。家庭に常備しておくことができるので、家庭でも薬膳料理を作って日々の食生活に金針菜の薬効を活用することができます。
生の金針菜には毒があるから必ず火を通して食べること!
中国などでは生の金針菜を料理に使います。しかし生の金針菜には毒があるため必ず火を通してから食べなければなりません。もし生の金針菜が手に入ったときは必ず加熱調理して食べるようにしてください。生のまま食すると毒によってめまいやむかつき、嘔吐、下痢などの症状を伴う食中毒を引き起こす恐れがあります。
金針菜の戻し方 使い方
汁ものには、戻さずにそのまま加えて使うことができます。
炒めものなどに使うときは、水に入れて15分ほど戻してから使いましょう。
戻し汁には、水溶性の成分が溶け出して美味しいので、煮物やお味噌汁などに加えて、捨てずにお使いください。
当店では、金針菜のキムチ、炒め物、スープ、サラダ、と色々と使用しています。
繊維が多いのできんぴらのような炒め物に定評があります。
皆さまも色々と試してみてください。